真珠の耳飾りの少女とは、オランダ黄金時代を代表する画家ヨハネス・フェルメールが描いた油彩画で、オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵する。肖像画ではなく「トローニー(想像上の人物像)」としての性格と、視線の強さで世界的に知られる。
概要
制作は1665年頃とされる。少女が振り返る瞬間を切り取った構図、青と黄のターバン、そして耳元の大きな真珠が強い印象を残し、「見る側が見つめ返される」ような視線の吸引力によって名画として定着した。所蔵先はオランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館で、同館の象徴的存在として扱われている。
この絵はしばしば「肖像画」と誤解されるが、実在の人物を記録する目的よりも、表情や衣装、光の表現で「型」や「雰囲気」を描くトローニー(想像上の人物像)の一種と説明されることが多い。フェルメールは光の扱いに長け、輪郭を硬く線で囲わず、肌の柔らかさや唇の湿り気、真珠の反射を最小限の描写で成立させる。真珠自体も細密に描き込むというより、ハイライトと陰影の関係で「輝いて見える」よう設計され、現実感と幻想性が同居する不思議さが作品の魅力になっている。
作品の知名度は、美術史上の評価だけでなく、文学・映画・商品化などの大衆文化を通じても拡大した。題名の「真珠」は、華美な宝飾というより、画面上の一点の光として機能し、少女の表情をより際立たせる装置として読み解かれることが多い。近年は科学調査や保存研究の成果が公開され、制作技法や下層の痕跡などが注目されるなど、「名作を更新し続ける」タイプの作品として語られている。
日本では2012年の「マウリッツハイス美術館展」以降しばらく実物鑑賞の機会が限られていたが、2026年夏に大阪での展示が告知され、久々の来日に向けて再び話題が高まった。単なる有名絵画ではなく、時代ごとの鑑賞体験や研究の進展によって見え方が変わる点も、この作品が長く愛される理由といえる。
美術の教科書でもお馴染みの作品なのだ!

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