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令和に蘇る決闘罪 トー横事件 殺人や喧嘩との違いとは

1月9日に話題となったキーワードは 「決闘罪」 です。

東京・歌舞伎町のトー横広場で起きたタイマン致死事件で、明治時代に制定された「決闘罪」が適用されたことが話題になっています。決闘罪とはどんな法律で、普通の喧嘩や殺人・傷害致死とどう違うのか。成立要件や処罰の仕組み、現代社会での意味とは。

何が起きたか

新宿・歌舞伎町の「トー横」広場で26歳の男と30歳の男性がタイマンで殴り合いになり、その後男性が死亡しました。警視庁は明治時代の法律に基づく決闘罪と傷害致死の疑いで男を逮捕しています。

注目を集めたのはなぜか

ニュースで「決闘罪」という聞き慣れない罪名が強調され、令和の今も残る明治22年制定の法律が適用されたことが大きな驚きを呼びました。喧嘩と何が違うのか、殺人ではないのかという疑問も噴き出しています。

ポイント

決闘罪は「合意の上で暴力で決着をつける」行為そのものを禁じるルールです。死亡や重傷の結果が出た場合は、別途殺人罪や傷害致死罪が重ねて問題になります。法律の仕組みを押さえると、今回の逮捕容疑の意味が見えてきます。

時代劇みたいな名前だけど、決闘罪は今も生きてて、タイマン配信みたいなノリを止めるためのストッパーでもあるのだ。

決闘罪とはどんな法律なのか

決闘罪は、明治22年に制定された「決闘罪ニ関スル件」という独立した法律に基づく規定です。刑法本体とは別に置かれ、今も現行法として効力があります。元々は、欧米の紳士同士の決闘文化が日本に広まるのを防ぐ目的で作られました。

この法律は、大きく分けて三つのタイプの行為を処罰します。まず、決闘を挑む・挑まれたのに応じる行為。次に、実際に決闘を行う行為。さらに、決闘に立ち会ったり、場所を提供したりする行為です。当事者だけでなく、周りで煽った人や場所を貸した人まで罰則の対象になりうる仕組みになっています。

現在の条文では、実際に決闘を行った場合は2年以上5年以下の拘禁刑とされています。もともとあった罰金刑は、法改正により削除されました。決闘を挑んだり応じたりしただけの場合でも、半年以上2年以下の拘禁刑となり得ます。

決闘と喧嘩の違いはどこにあるのか

多くの人が気になっているのが、「普通の喧嘩と何が違うのか」という点です。判例や解説では、決闘は「当事者どうしの合意に基づき、互いの身体や生命を害し得る暴行によって決着をつける争い」と整理されています。

つまり、たとえば口論になった相手に突然殴りかかるのは決闘ではなく暴行や傷害です。一方、「ここでタイマン張って白黒付けよう」「あの公園で一対一で殴り合おう」といった形で、日時や場所、殴り合うという目的についてお互いが合意していれば、決闘にかなり近づきます。

ポイントは、偶発的な殴り合いか、それとも「殴り合って決着をつけよう」と事前に決めたものかという点です。合意があり、決着の手段として暴力を選んでいる場合に、決闘罪が問題になります。名誉回復が目的かどうか、立会人がいるかどうかまでは要件に含まれていません。

歌舞伎町トー横事件で何があったのか

報道によると、事件が起きたのは2025年9月23日未明、新宿・歌舞伎町のいわゆるトー横広場です。その場で知り合った26歳の男と30歳の男性が、将棋をきっかけに口論になり、「タイマンで決着をつける」流れになったとされています。

二人は合意の上で一対一の決闘を始めましたが、実際の展開は容疑者による一方的な暴行になっていきました。約10分にわたって殴る・蹴る・投げ飛ばすなどの行為が続き、男性はその後体調が悪化して、数週間後に死亡しています。警視庁は、合意の上で決闘をしたことについて決闘罪を、死亡という結果については傷害致死罪を疑いとして逮捕しました。

「一方的に殴っているのに決闘なのか」「相手が亡くなっているのに決闘罪で済むのか」といった違和感も広がっています。ここで重要なのは、決闘罪はあくまで「合意して決闘を始めた行為」を問題にしていて、その後の結果は別の罪で扱うという構造になっている点です。

「決闘罪は軽すぎる?」という声への整理

SNSでは、「人が亡くなっているのに最大5年の決闘罪は軽すぎる」「本来は殺人事件なのではないか」といった反応が相次いでいます。ここで押さえておきたいのが、決闘罪の条文には「決闘によって人を殺傷した場合は、刑法の各条文に照らして処断する」と定めた規定があることです。

これは、決闘の結果として相手が大怪我をしたり死亡した場合には、決闘罪そのものではなく、より重い傷害罪や傷害致死罪、殺人罪などで処罰するという意味を持っています。また、「複数の犯罪が成立する場合は、刑の重い方に従って処断する」という条文もあり、決闘罪の罰則だけで終わらせないための工夫がされています。

今回の事件でも、逮捕容疑は決闘罪だけでなく傷害致死罪がセットになっています。最終的にどの罪名で起訴し、どの程度の刑が言い渡されるかは、裁判所が決める段階の話です。殺人罪ではなく傷害致死罪が軸になっているのは、「相手を死なせても構わない」という明確な殺意の立証が難しいためと考えられます。

「決闘罪だから軽い」と決めつけるのではなく、決闘罪はあくまでスタート地点の罪名であり、結果に応じた重い犯罪が上乗せされる仕組みになっていると理解しておく必要があります。

どこまでが決闘罪に当たるのか

今回のニュースをきっかけに、「決闘罪の構成要件が分からない」「どんな場合に自分も捕まるのか」と心配する声も出ています。条文や解説を整理すると、次のような行為が危険ゾーンと考えられます。

互いに「殴り合いで決着をつけよう」と約束して場所と時間を決める、立会人を用意してタイマンを煽る、決闘があると知りながら場所を貸したり、現場に集まって「レディーゴー」と試合開始を宣言する――このあたりは決闘罪ニ関スル件で処罰対象になり得る行為です。

一方で、偶然の口論からその場の勢いで殴り合いになった場合は、決闘罪ではなく暴行罪や傷害罪が問題になります。また、ボクシングや格闘技の試合など、ルールと安全対策が整ったスポーツイベントは、決闘とは別扱いです。リング外での「裏スパー」や、「配信企画だから」と称した路上の殴り合いは、決闘に近い危うさを持っています。

「見ているだけならセーフ」と考えがちですが、立会人として関わったと認められれば、観客側も罪に問われる余地があります。決闘は当事者だけの問題ではない、というのがこの法律の強いメッセージです。

令和に残る決闘罪が持つ意味

決闘罪は古い法律でありながら、暴走族同士のタイマンや若者グループの河川敷での殴り合いなどで、これまでもときどき適用されてきました。とはいえ、名前のインパクトに比べると認知度は決して高くなく、「そんな罪があるとは知らなかった」という声が多いのが実情です。

それでもなお、この法律が維持されている背景には、「合意しているからいいだろう」という理屈で暴力を正当化させないという狙いがあります。仲間内のノリであっても、配信のネタであっても、人が人を殴る行為には常に重大な危険が伴う、という考え方です。

SNSや動画配信の広がりで、「タイマン企画」「ストリートファイト」などをコンテンツとして消費しやすい時代だからこそ、決闘罪の存在意義はむしろ増しているとも言えます。合意しているかどうかに関係なく、暴力に頼った問題解決にストップをかけるための仕組みとして、古い法律が現代社会で息を吹き返したとも受け取れます。

今回の事件は、軽い言い合いから命を落とす結果につながってしまった痛ましいケースです。どちらが悪いかを決めるために自分たちだけのルールでリングを作るのではなく、トラブルが起きたら早めに離れる、第三者に相談する、といった「引き際」を持つことの大切さも浮き彫りになりました。

「合意があっても暴力はアウト」というメッセージだと思って、タイマンより先にその場を離れる勇気を持ちたいのだ。

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