装甲騎兵ボトムズは、1983年に放送が始まったサンライズ制作のテレビアニメ作品で、兵器としての人型機動兵器ATを軸にした戦記色の強いロボットアニメである。泥臭い地上戦や裏切り、諜報が交差するハードな世界観が特徴で、派生OVAや関連企画も含めて長期的に支持されている。
概要
1983年のテレビシリーズは全52話で展開し、アストラギウス銀河で続いた百年戦争の末期を背景に、兵士キリコ・キュービィーの逃亡と追跡の連鎖を描いた。小惑星での秘密作戦に参加したキリコが、素体と呼ばれる存在に触れたことをきっかけに、軍と情報部の思惑に巻き込まれ、戦場と都市を転々とする流れが物語の骨格になる。正義と悪の単純な対立ではなく、組織の都合と個人の生存が噛み合わない現実感が作品の基調にある。
本作を象徴するのがATと呼ばれる量産型の人型兵器で、とりわけスコープドッグはシリーズの顔として知られる。巨大ロボットを超兵器ではなく消耗品として扱い、整備不良や弾切れ、地形の不利まで含めて戦闘を描写する点が、当時のロボットアニメ像を更新したとされる。戦闘そのものも、格闘や射撃だけでなく、潜入、待ち伏せ、撤退といった手続きが重視され、作戦の失敗が日常的に起こる。勝利のカタルシスよりも、戦う理由が剥がれていく不穏さを積み上げる作りが独特である。
テレビシリーズの後も、時系列の補完や別視点の物語を扱うOVAが複数制作され、世界観の厚みが増していった。キリコの過去や生存性を巡る設定は、続編的作品で繰り返し変奏され、視聴者の解釈の余地を残しながら広がっている。近年は周年企画や商品展開に加え、サンライズ50周年企画の動きとも結びつき、完全新作アニメーション『装甲騎兵ボトムズ 灰色の魔女』が2026年開始として発表されている。時代を超えて更新されるたび、兵器と人間の距離感という主題が再び問われるシリーズである。
ボトムズはロボットが格好いいだけじゃなくて、生き残るための重さがずっと残る作品なのだ。

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